大会長 田平 一行
(畿央大学)
このたび、第7回日本呼吸理学療法学術大会をハイブリッド開催する方向で準備を進めて参りましたが、COVID-19の感染状況を考慮し、さらに来場者を制限する運びとなりました。開催方法も講演やセレクション演題はLive配信、一般演題発表は動画によるオンデマンド配信に変更いたしました。急な開催方法の変更となりましたが、ご理解いただけますと幸いです。
本学術大会のテーマは、「呼吸を知る」 です。前回大会は、岸川大会長のもと「呼吸を診る」というテーマで患者の呼吸状態の変化を捉えるという視点で開催されました。今回は、その状態変化のもとである生理学的な点について立ち返り、その現象のもとを知ることをテーマにしました。
呼吸は大きく換気とガス交換に分けられ、換気障害は、呼吸筋力低下、肺や胸郭のコンプライアンスの低下、気道抵抗の増加、そして横隔膜の平低化を代表とする換気効率の低下などが原因となります。ガス交換障害は、V/Qミスマッチ、右左シャント、拡散障害によって生じます。これらいずれの問題があっても、頻呼吸、努力呼吸、頻脈、低酸素血症などがみられ、呼吸困難を呈します。つまり、このような症状・徴候は、呼吸のどこかが障害されていることを示しているだけですので、原因を探り、治療していくためには、その生理学的背景を知る必要があります。つまり、「呼吸を知る」ことが「呼吸を診る」ことの深みを増し、より良い診療に繋がるものと思います。
また現在は、呼吸理学療法のアウトカムとして身体活動量やQOLが注目されています。それは生命予後に影響する事が大きな要因ですが、これらは運動耐容能や肺機能、骨格筋機能等の影響を受けます。確かに身体活動量やQOLは重要ではあるのですが、それらを改善するための生理学的な部分にもっと焦点を当てるべきではないかと考えています。そこで本学会では、呼吸器障害および呼吸管理、呼吸理学療法の生理学的な背景、特徴について再確認し、安全で効果的な呼吸理学療法について考えることを目的としました。
今回、各方面でご活躍の先生方から「呼吸を知る」をテーマとしてご講演いただき、呼吸理学療法を実践されている理学療法士にとって、有意義なものにしたいと考えております。また、COVID-19に関する報告も多数あります。発表者のみならず参加者にとっても日頃の臨床や研究に活かして頂ければと思います。
最後に、学会運営スタッフ一同準備して皆様のご参加を心からお待ち申し上げております。